シドニーのショッピングセンター、クイーンビクトリアビルディング(QVB)には、まだ9月だというのになんとクリスマスツリーが飾られています。
お客さんにその話をすると「もう?おかしな話ね。」という反応がほとんどです。
シドニーではようやく暖かくなり始めてやっと春を迎えたばかりで、私もクリスマスにはちょっと早いなと思っていました。
そして観光客もほとんどいないシティーに、こんなにも早くクリスマスツリーを飾る意味があるのかと考えていたんです。
コロナクライシスの中、おそらく、「クリスマス」という気分を早めに感じることで消費者に購買意欲を促すようなプロモーション的な意味があるんだろうとは思っていたんですが、本当の意味はちょっと違っていたようです。
このツリー、「本来の季節的なクリスマスツリー」ではなく「2020ツリー」といい、"Collective disruption of the year" 「今年の集団的な混乱」を表していて、シドニーのアーティストと共同で作成された。
シドニーのコミュニティーに”立ち止まって2020年を振り返って困難の中でも小さな喜びを見つけよう”という意味が込められている。
クリスマスツリーに似ているけれど、ツリーという構造を利用したアートだったんですね。
確かに2020年の始まりは大規模な山火事から始まり、新型コロナの流行により、まさかの国境が閉まって、旅行客が一気に減り、一部の仕事も急激になくなり、私もちょっとした不安の中で生活してきました。
でも、コロナクライシスで起きていることは大変なことだけじゃなかったんですよね。
以下のような良いこともたくさんあったんです。
- 新しい働き方を見つけることができた。
- 家族の大切さを再確認できた。
- 人と人との繋がりの暖かさを知った。
- 外に出たり、友達にあったり、旅行に行けたりすることができる自由がそれだけ素晴らしいか知った。
- 家に帰って家族におかえりと出迎えてもらえる嬉しさを知った。
- 自分の仕事ができる環境がありがたい。
- オンラインで好きな先生のヨガのクラスが受けられるようになった。
- エクササイズをする環境ができた。
当たり前だと思ってしまっていたことは当たり前じゃないんだということをまた考えさせられました。
このツリーが飾られたのは8月の終わり、街に人が増え始めた頃だったと思います。
これを見て、日本だけじゃなく(過去の記事参照)、オーストラリアでもこういう活動を通して、それぞれが違った形でこのクライシスを乗り切ろうとしているんだな。というのが私レベル(一般レベル)でも伝わってきました。
そしてたくさんの人にこのツリーに込められたメッセージに気づいてもらいたいなとも思います。
クリスマスツリーは本来、春が訪れを待つという理由で飾られていたそうですが、(他にも宗教的な理由がある)この「2020ツリー」にもコロナ明けを待つという人々の願いが込められているのかなと思いました。
コロナ禍で皆さんが気づいた小さな喜びってなんですか?
一度、立ち止まってゆっくり考えて見てくださいね。
ちなみにこのツリーは10月の頭まで展示されて、クリスマスツリーは11月のはじめに飾られるそうです。