数週間前、カットに来てくれたお客さん、ケビンの話。
今日は指名で帰って来てくれました。(うちの店は指名制度はないのですが。)
理由は前回の口約束からでした。
ケビンは若いとき日本に行った事を覚えていて、前回はその話をしてくれました。
そして次回来る時にはその時のパスポートを持ってくるよ!と言って帰っていったのを覚えています。
そしてそれが今日だったのですが、胸ポケットには本当にパスポートが入っていました。
前回、帰り際に言っていたことなんて、多くの人が忘れているでしょう。
でも、そんな些細な話を覚えていてくれたことが嬉しくて、有言実行してくれたこともとても嬉しかったです。
で、そのパスポートなのですが、当時は税関ではスタンプを押してもらっていました。
過去20年の間に新しく作られたパスポートにはICチップが入っています。
現在では、入出国はコンピューターで顔認識され人と話さずに出入りができてしまいますよね。
彼のパスポートにはもちろんそのICチップは入っていませんでした。
そのかわり『HANEDA 1969』のスタンプがくっきりとおされていました。
そして、53年前、当時のパスポート写真は白黒。
しかも正面は向いていないし、笑っているし、胸ではなく腰から上の写真。
今ではあり得ない構図です。
このパスポート自体、もはや博物館に展示されていてもおかしくないような代物でした。
ちなみにその写真ケビン、25歳の時の写真だったのですが、映画で見たことがあるようなステキな紳士でしたよ。
わたしがオーストラリアに来てからもう10年。
その間でさえいろんなことが変わっています。
53年前に日本に訪れた彼はどんな日本の姿を見ていたのでしょう?
そして、次に日本に行ったとき、どれほどの進歩を感じるのでしょう?
わたしはパンデミックで、たったの3年日本に帰っていないだけですが、次に帰国する時、日本の変化についていけるかどうか少し不安です。
先日のミュージアムといい、今回のパスポートといい、まるでタイムスリップでもして行ったり来たりしているような、錯覚を起こしそうな出来事を最近、目の当たりにしているところです。
明日は何が起きるのか、楽しみだわ。