わたしが働いている美容室は指名制度がありません。
来たお客さん順に手の空いたスタッフがカットをします。
それでも何度か来てくれているお客さんの中にはわたしの手が空くのを待っていてくれるひともいます。
その中の1人が3代目中国系シンガポール人のウォンさん、89歳。
ショッピングモールから徒歩10分圏内のところに住んでいるらしく、モール内でもよく見かけます。
実はウォンさん、数ヶ月前に2歳年上の奥さんを亡くしてからは一人でカットに来ています。
それまで仲良くいつも夫婦で来ていたので、何だか寂しそう。
カットをする時間はだいたい15分以内、いつもいくつかの質問をするかたちで会話をしているのですが、今日は血糖値が下がると頭がクラクラするという話をしていたり、薬局の買い物袋をもっていたりで、あんまり調子が良くない感じでした。
ウォンさんはオーストラリアにきてから大学教授だったようで、見た目もそんな風貌で歳はとっているものの、とても89歳には見えなく、穏やかだけどしっかりした雰囲気です。
年初めに日本の干支の話をした時、彼の文化でも干支があって、今年は寅年なんだよーなんて話をしていたのですが、その後、わざわざわたしの干支の動物の特徴が書かれた本をコピーして持ってきてくれたり、資料をくれたりしました。
やっぱり教授という素質は未だに変わっていないのですね。
そして話をしたことを覚えていてくれて、うれしくおもいました。
もう一つ、わたしがウォンさんを気にかける理由、それはわたしの祖父が生きていたらこんなかんじだったのだろうか?と何となく想像してしまうからです。
わたしの祖父が生きていたら100才近い年齢。
ウォンさんはシンガポール人なので中国語も話すとおもいますが、日本語もたまに話すときがあって、まるで、日本人みたいに思えて来るので不思議です。
そんなウォンさんにいつも思うことがあります。
どうか健康で、長生きして欲しいということ。
西オーストラリアの国境が今週ついに開きます。
そのおかげでウォンさんはシンガポールのお姉さんか妹さんたちに会いに行くんだと嬉しそうにいっていました。
家族に会ってまた、元気になってくれたら良いな。