マークに会いにアメリカへ
マークがオーストリアに戻ってくる当日、わたしは少し複雑な気持ちで空港まで行きました。
彼はわたしのこの行為に対してどんなふうに思うのだろう?
これが最後のお別れになるかもしれないし、この先はないのかもしれない。と
たったの30分くらいでしたが空港に会いに行ったのは間違いではありませんでした。
十数時間が経った後、ロサンゼルスに帰ったマークから
『今、子供と一緒に日本食レストランにいるんだ』
と写真付きでラインが来ました。
そしてこの時、わたしはある種の安心感を感じました。
普段の生活の様子や子供の話をしてくれる、という安心感です。
さらに、今後お付き合いをするにしても遠距離を気にすることはほとんどないんだろうなという根拠のない安心感。
毎日のようにビデオで通話をしていたので毎日デートをしているような感覚。
昼と夜の時差を全く感じさせない、さらに距離さえも感じさせないラインの返信の早さ、まるで一緒にいるかのような心地よさと今までに感じたことのない幸せを感じていたのでした。
本当に自分のことを大切にしてくれる人は、わたしに寂しい思いをさせない人なんだと言うことと、すべにおいて誠実さを感じさせてくれたのです。
一度言ったことも覚えていてくれる、本当に小さなことの積み重ねがますますわたしを安心させてくれました。
おそらく女性にとってこんな男性は結婚するのに最適な相手だと思います。
こうして連絡を重ねてついに実際に、LAまで彼に会いに行くことになったのでした。
これもごく自然な流れで、会いに行くのも普通の感覚でした。
それはマークがオーストラリアを去って約4ヶ月後のことでした。
彼は次の仕事のためカナダにいたので、わたしも旅行ついでにオーストラリアからカナダ経由、ロサンゼルス行きで10日間のホリデーを取りました。
旅費はなんと半分彼もち。
優しさしか感じませんよね。
しかしこれがまた思わぬ事態を引き起こすことになったのです。
カナダに行く当日の朝、気持ちはワクワクと不安と不思議な感覚でした。
ブリスベンからロサンゼルスまで12時間、ロサンゼルスで5時間のトランジット、そこからカナダ、バンクーバーに飛んでそこから地方のウィニピグと言う街に行くプラン。
アメリカ入りは5本指の指紋採取だけで入国が意外と簡単にできました。
まあ旅行ですし、トランジットだったので普通の人扱いでした。
ところがカナダ、バンクーバーの入国審査で何故かひっかかってしまったのです。
その頃、カナダのテレビ番組でエアポートポリスみたいな番組があったんだそうなんですが、その中で怪しい入国者とわたしの状況が極似だったようなんです。
オーストラリアからはるばる観光地でもないウィニピグまで24時間ほどかけていき、そこにはたったの2日しか滞在せず、友達歴が浅くて外国人で異性の友達に会いに来たと言う理由、見た目は普通の日本人女性、旅費の半分はその友人もち
これがまさに怪しい人の条件にぴったりだったのだそう。
この入国審査でわたしはスーツケースの中を隅から隅まで全て調べられ、どこに宿泊するのか?友人の仕事と連絡先などを聞かれて何にもやましいことはないはずなのにやけにドキドキしたのを覚えています。
その後の飛行機にも間に合わないかもしれなかったので。
ようやく解放されたわたしはついにマークのいるウィニピグにたどり着いたのでした。