人生初のジェントルマン行為
マークとLINEをし始めたのが夕方5時ごろ、ちょうどその日はヨガの日でした。
職場を出るのが少し遅くなり、トラムに乗り遅れて必死に走ってクラスに行ったのを覚えています。
しかも雨でした。
普段ならヨガのクラスにも遅れそう、雨でびしょびしょ、踏んだり蹴ったりのこの状況では、気分も落ちているはずですが、マークの連絡先をゲットし、さらにラインではあるけど会話もできたと言うことで、気分は上々でした。
ヨガが終わるとすぐにラインを再開。
7時くらいだったかな。
お腹も空いていたので、マークから上手く誘ってもらえるように(自分からは誘わない)それとなく遠回しに会話を続けました。
でも全然「ご飯に行こう」と誘われません。
なんでだろうか?
それでもチャンスは今日しかないと思ったわたしはなんとかご飯に行く約束をしたのでした。
時計はすでに8時半でした。
行ったお店はサーファーズパラダイスでもいい雰囲気のジャズレストラン。
昼はカフェ、夜はたまに小さなコンサートが行われているところでした。
アメリカ人である彼にも入りやすいところかなと。
わたしの家からそのレストランまでは歩いて30分くらい、夜なので迎えにきてもらうことになったのです。
家のまえにきてもらうとマークはわざわざ車から降りて助手席の扉の開閉をしてくれたではありませんか。
正直、こんなジェントルマン対応を今までの人生で一度もしてもらったことがありません。
それだけで幸せな気分になったのです。
この日をきっかけに私たちは毎日ラインをする間柄になっていました。
といってもこの頃になると彼の帰国の日もあと数日くらいしか残ってはいませんでした。
今後どうなるのかもわからないこの恋でしたが毎日はパッと桜が咲いたような感覚だったのです。
何せ変な男性にしか出会ってこなかったわたしにとって、マークは本物のジェントルマンにしか見えなかったからです。
この感覚はその後もずーっと続いていました。
しかし、ついに彼がオーストラリアを発つときがきてしまったのです。
といってもオーストラリアから一度香港に飛んで、数日したらまたオーストラリアに戻ってきてそこからLA に帰るという計画になっていたようです。
なのでわたしにはもう一度彼に会えるチャンスがあるということ。
私は彼が香港にいる間も色々と作戦を考えていました。
彼がオーストラリアに戻ってくる日、トランジットで数十分の時間があるということを聞き、ダメもとで空港までお見送りに行ってもいいか?と聞いたのです。
もちろんOKでした。
ここまでくるとわたしも後に引き下がれなくなっていました。
せっかく出会った縁、このまま終わらせてはもったいない。
なんとかならないものだろうかと。。
そんな話を職場の同僚にしていたのですが、彼女からみたわたしの行動はまるで本人も承認済みのストーカー。
自分でも驚くほどの行動力。
そしてわたし自身も何故そんな遠距離まで覚悟して彼を射止めたかったのか?
は今になっても謎のままです。
そんなわけでわたしは彼が香港から戻ってくる時間に合わせて空港までお見送りに行ったのでした。
その時のわたしはこの恋が最終的にどんなものになるのかは知りもしなかったのです。